面白くする 面白くなる

ピアノのレッスンをしていて、中学生くらいまで続けている子が

今日のレッスンは楽しかった、と実感を込めていってくれることがあります。

 

また、レッスンの間に、なんかもやもやと分からなかったことが、

今、わかった!と

それが手に取るようにわかる瞬間があります。

 

例えば勝ち負けがあるスポーツや

進級で級が上がっていく書道や、スイミングなどのおけいこ事と違って

 

ピアノは、目に見える目標設定が難しい習い事かもしれないと思います。

 

ピアノを始めたいと思ったとき

たとえばYouTubeでいろんな曲をリクエストされたらすごくかっこよく弾きこなしているのを見て

あんなふうになりたいと思ってピアノを始めたいと思う人も少なくないと思われます。

ピアニスト系ユーチューバーは、最近とても増えてきましたので、ピアノを身近に感汁人も多くなり、

ピアノをやってみたいと思う人も増えているのかもしれません。

 

ただ、

あそこまで弾けるようになるとしたら、どのくらいの努力が必要かということが

多分普通の人には想像がつかないのではないかと思うのです。

 

ピアノの場合、あれくらい弾ける人たちはみな、

もちろん毎日練習していて、なおかつ一時期死ぬほど練習した時がある

この死ぬほどとか毎日の練習というのが、

例えば、一日5時間〜10時間

とかって、そのくらいの想像をしている人はどのくらいいるでしょうか?

 

私は、比較的練習が好きではない方だったので、

子どもの頃、小学生の高学年の頃、毎日2時間、お正月以外は弾いていましたが、

一日に弾いたことがある最高時間は、受験の時の6時間でした。

10時間も弾くというのは、想像の外側で、お尻が痛くならないのかなぁと思ったりします。

私なら、多分、3日で、腱鞘炎になってしまうレベルです。

そんなにやらなきゃいけないならピアノなんてや~めた

となるのではなくて、

そこまでやらなくても

4歳から始めて

やっと弾けるようになったというレベルでも

ピアノは楽しむことができるのです。

 

子どもたちの多くは、弾き始めの頃、

新しいことを教えてもらってやってみたらできるようになって、

ピアノを触って、それが音になって、それが歌になって、

知ってる曲を演奏しているという喜びで、

うれしくて弾くことができているように思います。

 

でも、2年3年たってくると

練習する曲のレベルが少しずつ上がってきて、

弾けるようになるまでの練習量が必要になってきて、

一筋縄じゃいかなくなってきて、面白くないと感じるようになってきて、

練習が嫌になってきて…なんてことが起こる場合も少なくありません。

 

ピアノ以外のおけいこ事は、お教室に行ってる時だけやっていても少しずつでも上達していきますが、

ピアノは、毎日練習している子としていない子では出来栄えが明らかに変わってくるのです。

もちろん、書道も、もしおうちで毎日書いているような子がいたら、見違えるように上達していくと思うのですが、

それを、教室として求めたりは、まず、しないものですね。

 

私は、昔からピアノを教える上では、

毎日、せめて1分 できたら5分 15分くらいピアノを触ってねと、話をします。

その毎日5分の積み重ねがあれば、ピアノは誰でもそこそこ弾けるようになるんです。

 

そして、毎日5分を続けて一年で1825分の貯えができて、

5年で10000分近くになります。だんだん5分じゃなくなったりするので、10000分を超えてきます。

一日24時間1440分の中でたった5分だけピアノに座って音を奏でてみるというのを5年続けたら、

嫌でも面白くなってくるのです。

そして、そこから、

自分の力で、面白くすることができるようになってきます。

そうなったら、本当にピアノが楽しくて仕方ないものになってくるのです。

 

一日なんとなく過ぎてしまう5分ってありませんか?という話で、

それをピアノを弾く時間に充てること

それはもしかしたら、

最初は義務かもしれない、最初から楽しくてしかなかったらいいのですが、

私も大好きなピアノだったけれど、

母が、ピアノの練習したら?と声をかけてくれてから、練習していたらしいです。

 

小学3,4年生くらいから、自分の意志で練習するようになり、

練習時間も増えてきて、弾ける曲のレベルも上がってきて、

ピアノも音楽も面白くて仕方ないと思うようになって今に至っています。

 

 

私の娘は幼稚園教諭をしていますが、

小さいころから、ピアノをやっていて、

本当に一日5分だけ練習していました。

短い日は、3分、時にテレビを見ているCMの間、通りがかりにちょろちょろっと弾く程度だったり、

 

こんなので、ピアノ弾けるようになるのかなぁと思っていました。

我が子で、長い年月をかけて検証してみたんです。

 

小学生の間は、長くても15分しか練習をしない娘。

講師の私としては、あと5分 あと5回弾いてくれたら、できるのに、と、

できないところをできないまま練習を終えるのなんて、

日常茶飯事で、

母親としてもイライラしたこともとても多かったのですが、

先生がとても厳しい先生だったこともあって、

娘は、先生に怒られない程度に最短時間で練習するにはどうしたらいいかという知恵を絞って、

超短時間で練習していたようでした。

そんな工夫もできるようになっていたのです。

 

そんな知恵の絞り方も、

社会生活の中で、とても役に立っていると、娘を見ていて思います。

やらなきゃいけないことを、短い時間でどうやって効率よくこなすか、

仕事の上で、先輩や、上司に求められる仕事をやるために、

たとえば今日5分明日5分で何をするかという計画を立てることも

ピアノの練習を組み立てていたことのおかげのように思えます。

たくさんの生徒たちを見てきてピアノを続けていた子たちは、

確かに音楽が好きとか、ピアノが好きな子が多いのですが、

意外と、他にもやりたいことがたくさんあったり、

他のことも結構できたりする子が多いように思います。

それは、頑張り方のセオリーをピアノを通じて学んでいる気がしてなりません。

ここまでやったら、面白い世界が見えてくる。

 

それは、私が子供の頃に感じたことであり、

小学校高学年から、弾く曲のレベルが上がって、

音楽として、素敵な曲に出会う機会が断然増えたから

弾けるようになりたいと思う気持ちは、

小さいころとは比べ物にならないくらい膨らんでいきました。

 

面白いからやりたくなる、できるようになるから面白くなる。

そのプロセスを自分で組み立てて作っていくことを学ぶには、

ピアノほど優れた教材はない気がします。

簡単にわかったことじゃなくて、やっと見つけたことの価値は、見つけた人にしかわからない、そして、それを知っていると、

 

多分どんなことにもそんな世界があるんだとわかるので、もっと深く、もっと高いところまで知りたくなるから、

だから頑張れるようになるんじゃないかなぁと思います。

 

そんなことをてらこやのみんなにも感じてほしい。

そんな世界をてらこやのみんなに見せてあげたい、そう思って、指導をしていきたいと思っています。